エアコンの最新機能
毎年新しい機能が加わる新型エアコン。今年は新型コロナの影響で、換気・空調への関心も高まっています。メーカー各社でどのような工夫・進化があるのか特徴をまとめ、エアコンクリーニング目線で見たコメントを添えました。
エアコンは使えば必ず汚れる
エアコンを作動させれば、空気とともに空気中のホコリや菌類が内部に入ります。熱交換器やファン、フィルターは必ず汚れます。ホコリが付けば夏の冷房運転で結露し、カビ繁殖の原因になります。
これらの汚れをどう防止するか、「きれいなエアコン内部」「きれいな空気」を目指し、各社が様々な方法を考えています。
シャープは空気清浄エアコンで、きれいな空気を目指す
シャープのエアコン「Airest(エアレスト)」
- 空気清浄機の規格をクリア。集じん脱臭フィルターを吸込口全面に搭載。内部に入るホコリを従来エアコンと比較し99.9%抑制する。
- フィルターに厚みがあるので、花粉のほかPM2.5、タバコやペット・料理の臭いを吸塵、脱臭する。そのために吸込み・送風能力の高いシロッコファンを内蔵。
- 「プラズマクラスターNEXT」を搭載。フィルターだけでは取りきれない汚れに対して、イオンを放出して、カーテンや寝具・ソファーに付着したカビ菌や臭いを除去する。
- 冷房運転時、吸い込んだ空気を冷やす熱交換器を吹き出し口付近に配置。このことにより、エアコン内部の高湿度部分(結露発生箇所)を減らし、カビの発生を抑える。
- 無線LAN接続すると、クラウドサービス「COCOROAIR」を利用可。AIが快適性を考慮しつつ、省エネを実現。
- いい事尽くめだが、今まで(一般には2週間に1度と言われる)以上にフィルター清掃が必要になるのでは? 掃除を忘れてホコリが溜まってしまった場合、極端に空気の流れが悪くなる可能性も? 使ってみないとメリット・デメリットは分からない。
- カビの発生は軽減できると思われるが、ゼロにはできないだろう。
ダイキンはエアコンを運転しながら換気する
ダイキンのエアコン「うるさらX」
- エアコン運転と同時に換気できる機種は、壁掛けタイプでは他に無い。屋外から新鮮な空気を取り込みながら、エアコン運転できる。ただし、給気換気なので排気は別に出口(壁給気口や換気扇、隙間など)が補うことになりる。
- 無給水加湿「うるる加湿」で、乾燥する冬のお肌・お部屋に潤いを届ける「うるおい暖房」。外気中の水分をエアコンが取込み、加湿暖房する。
- 冬場は、その機能で取り入れた湿気をエアコン内で結露させ、熱交換器を洗浄(加湿水洗浄)。さらにストリーマを照射しながら送風乾燥・加熱乾燥。夏は同様に、冷房の結露水で洗浄する「水内部クリーン」
- 熱交換器や吹出し口の内部にストリーマを自動照射する「ストリーマ内部クリーン」
- 汚れが落ちやすいコーティングを施した「セルフウォッシュ熱交換器」
- 床・壁の温度を感知し輻射熱を推測するセンシングと、好みの運転を記憶・学習する「AI快適自動運転」
※ストリーマとは、ストリーマ放電により有害物質を酸化分解するダイキン独自の空気清浄化技術
- 屋外から空気を取り入れるならば、吸気フィルターの清掃も必要になるのでは?
- 冬は外気も乾燥しているので、どこまで室内を加湿できるか不明。加湿器を使わないレベルまでになるのか?
- 加湿水や結露水でどこまで汚れを落とせるものか? 熱交換器にホコリが詰まっている場合、かえって汚れが固着してしまわないか?
- 熱交換器に汚れが落ち易いコーティングをするのは良いことだが、どこまでホコリやカビの付着を防げるか?
- 残念ながら経験上では、ストリーマが付いている機種でもカビが生えています…。
- フィルター自動掃除は、「ダストボックスにたまったホコリを捨てるだけ」では済まない。
- 他にもネーミングされた多彩な特徴があり、様々な角度で研究されていることが分かる。しかし、実際効果があるのか、実感できるのかは分からない。
パナソニックは「ナノイーX」でクリーン冷暖
パナソニックの「エオリア」Xシリーズ
- 「ナノイー X」が空気中のさまざまな有害物質(カビ、花粉、臭い、PM2.5、菌・ウイルス、荒れる物質)を抑制。エアコンで初めて「日本アトピー協会推薦品」マークを取得。
- 運転を終了するたび、エアコン内部を40℃以上に加熱して乾燥。さらに、高濃度の「ナノイー X」を内部のすみずみまで充満させて、カビの成長を強力に抑制する「ナノイー X 新・内部クリーン」
- 室温・湿度をチェックして自動で内部クリーンをスタートする「カビみはり」
- 「新・フィルターお掃除ロボット」には、ブラシクリーナーを新搭載。
- 「Ag+除菌フィルター」は、捕集したホコリに潜む菌を除菌。
- 熱交換器を「ホコリレスコーティング」し、ホコリ・油分の付着を防ぐ。
- 送風ファンを「防汚・防カビコーティング」し、汚れを防止。
- PM2.5を99% 除去する「アクティブクリーンフィルター」
- 冷暖房を使わない季節でも、空気清浄機能(ナノイー X)のみの運転が可能。
- AIが気象情報とおうち環境から空気の汚れを先読みする「AI先読み空気清浄」
※ナノイー Xとは、空気中の水に高電圧を加えることで生成される微粒子イオン。空気中の汚染物質のはたらきを抑制する。
- ナノイー機種ではカビが生えていたが、「ナノイー X」は本当に効くのか?
- 自動排出方式は、過去にホース内のホコリ詰まりが見られた。
- 「アクティブクリーンフィルター」は2年で交換する消耗品。交換をせず使い続けたら、悪影響が出るのでは?
- こちらも書き切れないほど多くの機能がある。自動でいろいろやってくれるものが多いが、やはり人の目での定期的なチェックも必要だと思われる。自動お掃除機能を信用して何もお手入れしなかったせいで、内部がノーマルエアコンよりも酷い汚れの状態になってしまった事例もある。
- 考え方は良いと思うが、完璧には実現されないだろう。「実使用空間での実証効果ではありません。効果は使用環境により異なる場合があります。」等の脚注も見られる。
日立は凍結洗浄により熱交換器自動掃除
日立のルームエアコン「白くまくん」Xシリーズ
- 室内外の熱交換器を凍らせてホコリやカビを洗い流す、熱交換器自動掃除機能。
- ファンに付着したホコリをファン清掃ブラシで自動で掃除する「ファンロボ」
- フラップ・通風路・水受け皿(ドレンパン)はステンレス張り。ファン素材には銀イオンを添加。熱交換器にはチタン触媒。フィルターはステンレスコーティングという「ステンレス・クリーンシステム」
- エアコン内部の温度と湿度を見張り、「くらしカメラAI」で設置状況を識別。プラズマイオンと加熱・低湿制御でカビを抑制する「カビバスター」
- 「くらしカメラAI」は部屋にいる人を識別して、それぞれの在室時間を把握。体感温度の変化を予測し、快適に冷房する。
- プラズマ電極から放出された電子がホコリなどを帯電させ、ステンレスフィルターで捕集する「ステンレスイオン空清」
- 熱交換器やファンの自動清掃は、掃除他社とは視点が異なる。「凍結洗浄」のユーザー満足度はかなり高いようだ。
- ステンレスフラップなどは、確かにカビの付着が少ない事例があった。ただし、この製品も一部に「実使用空間での実証効果ではありません。」との脚注がある。
- 汚れに対する効果を確認するため、やはり人の目での定期的なチェックはしたほうが良いだろう。
富士通ゼネラルは熱交換器加熱除菌
富士通ゼネラルのエアコン「ノクリアX」
- 熱交換器を運転しながら洗浄し、運転停止後は55℃で高温加熱。10分間でカビ菌・細菌の99%が減少。
- 熱交換器を抗菌・防カビコーティング。結露水で汚れを洗い流す「ハイドロフィリック熱交換器」
- 電気集じん方式で、ホコリや花粉もキャッチ、カビ菌などを除去する「プラズマ空清」。PM2.5の92%を捉える。微粒子をプラズマイオンでプラスに帯電させ、マイナスの電極板で吸着。目詰まりによる性能の低下が抑えられ、高い集じん力が持続。
- 送風ファンを抗菌・防カビコーティング。
- フィルター自動おそうじ機能はダストボックス方式で、着脱しやすく水洗い可。
- 冷房・暖房を行うセンター気流と、冷気・暖気を運び循環させる「デュアルブラスター」気流の2種類の気流(ハイブリッド気流)。
- 「ダブルAI」で学習して成長。温度ムラを抑え「オーダーメイド快適」に。
- お手入れは5年に1度となっているが、そんなにうまくいくものか? 少なくとも汚れが溜まっていないかを定期的なチェックはした方が良いだろう。
- 経験では様々なフィルターがあっても、熱交換器までホコリが到達してしまっている。また結露水だけでそのホコリが洗い流せるものか?
- 高温加熱は効果があるかもしれないが、ホコリが付いていたら余計に固着する可能性があるのでは?
- 「プラズマ空清」は、1年に1回の洗浄が必要とのこと。やはり内部確認の必要がある。
- この製品も一部に「実使用空間での実証効果ではありません。」との脚注がある。実際使ってみないと何とも言えない。
※世界で初めて(2003年)フィルター自動おそうじ機能を搭載したのは富士通ゼネラル。
三菱電機は汚れの付着を抑制、人の手による掃除も想定
三菱電機のエアコン「霧ヶ峰」FZシリーズ
- フィルターおそうじメカは、エアフィルターを巻き取りながらブラシで汚れをかき取る
- (往復)方式。「掃除が早くて静か」。ダストボックスは、約10年相当の大容量。
- エアコン内部にはハイブリッドナノコーティングをし、ホコリも油も付きにくくカビにも強い「よごれんボディ」。
- フラップ(吹出口ルーバー)には、汚れがつきにくいデュアルバリアマテリアルを配合。
- オゾンの力で、エアコン内部のカビ菌を除去。さらに、エアコン内部を乾燥(加熱)させてカビ菌の成長を抑制。
- 運転を開始時に、エアコン内部に付着したニオイを抑制。オゾンの力で「スタート脱臭」
- 後フラップも簡単に外せて、通風路が掃除できる「はずせるボディ」
- 自動でお掃除する「フィルターおそうじメカ」まで外せる。
- 空気中の水分に高電圧をかけて、水のミスト(微粒子)を発生。ミストが10分以上浮遊し、菌・ウイルス・カビ菌・花粉に付着し活動を抑制。
- 左右独立駆動の2つのプロペラファンが、2つの温度帯を創り出す。1人ひとりにあわせて風を送る「おまかせA.I.自動」
- ダストボックスは、約10年相当のホコリを溜められるとのことだが、そこまでお手入れしなかったら、内部はどのような状態になっているか? 保証があるわではないので、汚れが溜まっていないかを定期的に確認することをおすすめする。
- フラップやフィルターおそうじメカが外しやすいことは、メンテナンス上、大きなメリットと言える。
- 汚れの付着は軽減されるだろうが、完全にとは言えないだろう。
- 2つあるプロペラファンも汚れるはずである。
- この製品も一部に「実使用空間での実証効果ではありません。」との脚注がある。
東芝は汚れの付着を抑制、ダストボックスも掃除しやすく
東芝のエアコン「大清快」G-DTシリーズ
- 樹脂コーティングした「マジック洗浄熱交換器」を、冷房・除湿運転時に発生した結露水で洗浄。運転停止後には「セルフクリーン」運転で送風路内を自動乾燥。
- 花粉やホコリのほか、PM2.5など空気中の汚れを「プラズマ空清ユニット」によって帯電。「マジック洗浄熱交換器」に吸着させた汚れは、自動でドレンホースから屋外に排出。
- PM2.5の99%除去。花粉が気になる春や秋には、空気清浄だけでも使える。
- ダストボックスを取り外さずに掃除機でラクラク吸引できる「楽ダストボックス」。お手入れの目安は、1年に1回またはお掃除マーク点滅時。
- 汚れが気になるときは、1時間あたり1L発生する結露水で、熱交換器に付着した汚れ強力洗浄。
- 無風感ルーバーで風や冷えすぎが気にならない「無風感冷房」
- AI温冷熱センサーが体表温度を検知し全自動運転。つけっぱなし冷房を想定。
- 熱交換器の汚れを自動でどこまで落とせるものか?
- ダストボックスを簡単に掃除できるのは楽。ただし、ホコリを溜めすぎると掃除機で吸いきれない可能性があるので、小まめに手入れしたほうが良い。
- 比較的シンプルな機能で、ある程度人の手によるクリーニングが必要と考えられているのではないか?
各社のエアコンに共通して言えること
どのエアコンメーカーも、「汚れを付きにくくし」「きれいな空気を出す」ことを「自動で行う」ことを考えています。各社工夫はされていますが、その効果は実際使ってみないと分かりませんが、多少の違いはあってもまず完璧なものはないでしょう。
過去のお掃除機能付きエアコン機種事例では、お掃除機能を信用して何もお手入れしなかったせいで、内部がノーマルエアコンよりも酷い汚れの状態になってしまった事例を多く見てきています。新しい機能が付いた機種であっても、シーズンごとの人の目によるチェックは必要で、状況によってはお手入れ・お掃除・クリーニングが必要になります。
その方が「確実にきれいな状態でエアコンを使う」事ができます。あまり複雑なものではなくクリーニングを前提にしたシンプルなものを選ぶのも一つの手です。
(機能説明については、各社サイトを参照しました。詳しくは各社のサイトをご覧ください)
コメント
北海道で新たにエアコンを設備しようと思っていますが、機能盛りだくさん、機種多様で、選ぶのに苦労しています。ブログ拝見していろいろな機種を実際にご覧になり、ユーザーの声も聴いている方の感想が参考になりました。シンプルイズベストというものの、掃除簡単にしたいので、自動掃除機能付きのうち、フィルターを取り外ししやすい機種を探そうと思います。